見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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サハラ砂漠のサンライズ
明け方、まだ陽が昇る前に僕たちはテントの外へ出た。まだ外は薄暗かった。

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キャンプ入り口で座り込むラクダたち。地面には彼らの印である糞が無数に散らばっている。

ひんやりとした冷たい砂の感触を足の裏に感じながら、キャンプ入り口へと向かった。キャンプの外でラクダたちが、僕たちが来るのをおとなしく座って待っていた。

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僕たちが宿泊したキャンプ。簡易ではあるが、設備はしっかりとしていた。

昨晩は銀河のような星空に夢中になっていたせいか、睡眠不足で頭がぼんやりしていた。出発しようと僕たちはラクダの背に跨がったが、どうもメンバーが1人足りないようだ。

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明け方の薄暗い中を、ラクダのキャラバンが出発する。

しばらくするとオーストラリア人の女の子が眠そうにやってきた。そう言えば昨晩見かけなかったが、彼女も夜中に砂山に登って星空を眺めたのだろうか。きっとそうだろう。

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遠くに見える僕たちのキャンプ。こうして見ると、砂山がいかに巨大かよく分かる。

メンバーが揃い、僕たちのラクダのキャラバンは出発した。今日はキャンプを出て、再びサハラの入り口へと戻る日だ。僕たちが過ごしたキャンプがみるみる遠ざかっていく。

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早朝のサハラ砂漠には雲が出ていた。東の空が紅く染まっていた。

いつのまにか空に蒼味が増し、明るくなっていた。まだ太陽は昇っていないが、遠くの空が紅く染まりはじめていた。うっすらと漂う雲が、空により味わい深い表情を与えていた。

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見晴らしのいい小高い丘から、サハラ砂漠を見渡す。

砂漠に、ザクッザクッと一定のリズムで足を踏み出すラクダたちの足音だけが響いた。僕は夢中でカメラのシャッターを切った。どうもラクダに乗るのに少し慣れたようだ。

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鮮やかなブルーのベルベル装束に身を包んだ「砂漠の民」。

どの位移動しただろうか。僕たちのキャラバンは、見晴らしのいい小高い砂丘の上にいた。ベルベル人ガイドが休憩しようと言うので、僕たちはラクダから降りた。

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サハラの日の出。太陽が昇った瞬間、ありとあらゆるものが変化した。

砂丘の上から見渡すと、はるか遠くの地平線の果てまで延々と砂の山が連なっていた。その砂山の1つ1つが、きっと登るのさえ容易ではないほどの大きさなのだ。

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急激に大気が暖まり、ラクダたちも気持ちよさそうだ。

あまりの絶景に言葉を失って見つめていると、突然はるか遠くの地平線からギラギラと金色に輝くものが姿を現した。太陽は姿を現すや否や、強烈な輝きを放ちはじめた。

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モロッコ、メルズーガの砂丘入り口に戻って来た。遠くにホテルのような大型の建造物が見える。

砂漠が太陽に照らされると、まるで砂たちが息を吹き返したかのように鮮やかな褐色に染まり、砂にはっきりとした陰影が付いた。同時に大気が急激に暖まっていくのを感じた。

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先ほどに比べ、太陽が随分上に昇った。それにしても太陽がデカい。

今まで、旅先で数え切れないほどの日の出を見てきたが、かつてこれほどまでに太陽にパワーを感じたことがあっただろうか。それくらい、砂漠に存在するあらゆるものがガラリと変化したのだ。おそらく日中になると、この太陽がジリジリと旅人の体力を奪う凶悪な存在へと変貌を遂げるに違いなかったが、朝の太陽が照らす砂漠の神秘的な姿に、深い感動を覚えた。




  




2013'02'08(Fri)19:55 [ サハラ砂漠 ] CM2. TB0 . TOP ▲
サハラ砂漠、銀河の惑星
モロッコ、“サハラ砂漠” ───絶縁の砂の惑星の頭上には、無数の星々が煌めいていた。

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寝床となるテントの入り口。

楽しい夜の宴の後に案内されたのは、キリムで覆われた大きなテントだった。この場所が砂漠で一夜を明かす寝床になる。床一面に敷かれたキリムは、砂の上に直接敷かれた物で、細かな砂のザラザラとした感触があった。壁面にもキリムが隙間なく覆い、一種独特の雰囲気がある。

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床と壁に隙間なくキリムを敷き詰めた寝床。ここに皆で寝るのだ。

毛布もゴワゴワしており、ホテルの一室というわけにはいかないが、不思議と不潔さは感じず、テントの外の冷たい外気から守ってくれる安堵感があった。なにより、そんなことはもうどうでもいいくらい疲れていたのだ。僕は毛布の中に潜り込み、すぐに深い眠りについた。

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空を見上げると銀河のような星空が広がっていた。

・・・・・・起きて・・・すごい星だよ」夜中に耳元で声がしたので、寝ぼけ眼で目を覚ますと、先生が砂山に登ろうとカメラを手にしている。そう、そう言えばそんな約束をしていたかもしれない。僕たちはテントの外に出て、空を見上げた。確かに想像を絶する星の数だった。

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砂山の中腹から見た星空。一眼レフと三脚があれば・・・・・・残念でならないところだ。

2人で夕方皆で登った砂山の方に向かって歩きはじめた。サンダルをテントに置いてきたので、冷たく冷えた砂の感触が足の指の間に伝わってくる。砂山の麓から少し登ると、人の気配がした。暗闇でほとんど視界がなかったが、すぐにそれがもう1人の日本人の女の子だと分かった。

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キャンプの端っこにあるトイレ。想像以上にちゃんとしたトイレだったので驚いた。

やあ、キミも来てたんだね」「うん、星がすごいきれい」彼女は砂の上に仰向けになって空を見つめていた。これほど美しい星空が広がっているのに、眠ってしまうのはもったいないという気持ちは皆同じなんだなと思った。まぁ僕の場合は起こされたわけなんだけど・・・ハハ。

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夜明けの空に強い光を放つ月。

僕と先生は砂山を上へ上へと登りはじめた。夕方登ってそのハードさは身に染みていたので、容易に頂上には着かないことはよく分かっていた。山の中腹を過ぎた辺りで、少し疲れて座り込んだ。完全な無音と暗闇、そして銀河のような空はまるで別の惑星にいるかのようだった。

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東の空が紅味を帯びてきた。夜明けにはまだ随分早い時間だ。

コンパクトデジカメでどこまで撮れるかは分からなかったが、ゴリラポッドでかろうじて砂の上に固定し、シャッターの開放を調整しながら写真を撮った。こんな時に一眼レフと三脚がないのが悔やまれたが、大きなカメラ機材は時に移動の妨げにもなるから、一長一短だ。

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空は徐々に蒼さを取り戻していくが、頭上には依然として無数の星々が輝いていた。

どのくらい夜空を眺めていただろうか。遙か地平線の彼方が薄紅色に染まりはじめた。「もうすぐ夜明けだ」そう思いながら眺めていると、みるみるうちに地平線が紅く色づき、その周囲の空は蒼くなっていった。空には雲が立ちこめていたが、依然頭上には銀河のような星々が煌めいていて、夜と朝が入り混じった混沌の世界が広がっていた。それは、あたかも夜と朝が戦っているようだった。朝が勝つことは分かっていたが、夜はしぶとく朝の訪れに抵抗しているのだ。




  




2013'01'27(Sun)12:23 [ サハラ砂漠 ] CM0. TB0 . TOP ▲
サハラ砂漠、夜の宴
モロッコ、“メルズーガの大砂丘”(Merzouga)から出発し、僕たちのラクダのキャラバンは奥へ奥へと進み、日没後にようやくキャンプへとたどり着いたのだった。

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キャンプを囲む巨大な砂の山。

砂の山に囲まれたキャンプは、敷地を囲むように大型のテントがいくつかあるものの、キャンプの周囲には、少なくとも見渡す限り、建造物はおろか人の気配すらない陸の孤島だった。

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空にはまだ太陽の紅が残っていた。

誰がどうしようと提案したわけではない。しかし、僕たちは皆、キャンプを囲む巨大な砂の山のひとつに向かって走り出していた。おそらく誰もが「まだ間に合う」と思ったのだろう。

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まだ空は明るいのに、まるで天の川のような無数の星々が輝いていた。

確かに太陽は、ずいぶん前に沈んだはずだった。しかし、夜の帳は完全には下りてはいなかった。西の空には依然太陽の名残があって、それは美しい紅を発していた。

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砂の山の山頂。その先には絶景が広がっていた。

実際に登ると、砂の山は想像以上に巨大だった。一歩足を踏み出す度に砂に足を取られた。僕はサンダルを脱いで山の頂上を目指した。日没後の砂漠の砂はひんやりと冷たかった。

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山頂に跨がるようにして座り、銀河のような無数の星々が輝く空を眺めた。

砂漠の乾いた空気に息切れしながら、それでも勢いを緩めずひたすら登り続けた。鋭角な砂の山の頂上は目の前に迫っていた。その先には 「圧倒的ななにか」が存在しているはずだ。

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一眼レフじゃないからうまく撮れてはいないけど、言葉では表現できないほど素晴らしかった。

砂山の山頂からの絶景に、皆言葉を発するのも忘れ見とれた。夕暮れ時のパープルの空には、まだ明るいのに銀河のような無数の星が輝いていたが、いつのまにか夜の闇に包まれていた。僕たちは鋭角な砂山の頂上に跨がるように座り、時に寝転がり、美しい銀河の空を眺めた。

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竹のような細木を組み合わせて建てた大型のテント。

キャンプに戻ると、ベルベル人ガイドの家族が夕食の準備をしてくれていた。僕たちはテントのひとつに集まり、食卓を囲んだ。天井から吊り下げられた裸電球が、煌煌と輝いていた。

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鉄皿に盛られたタジン。ここが砂漠の中とは思えないほどの素晴らしい味だった。

しばらくするとテーブルに大きな鉄皿が運ばれてきた。鉄皿には、モロッコの煮込み料理 “タジン”(Tajine)が山盛りだった。モロッコパンと一緒に、皆で鉄皿のタジンをつついた。

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サイドにはモロッコパンとミントティー。シンプルだが妙な満足感があった。

モロッコで食べた食べ物で一番おいしかったもの───僕はこのタジンを候補に入れたい。そのくらいうまかった。特に、しっかり煮込まれた大振りのジャガイモが最高だった。お腹も空いていたし夢中で食べたが、山盛りのタジンはすごい量で、結局すべては食べきれなかった。

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ベルベル人ガイドの演奏。皆で太鼓を叩いたのは良い思い出。

食後のミントティーを飲みながら、ガイドのベルベル人を交えて、いろいろなことを話した。しばらくすると彼が大きなベルベル太鼓をたくさん持ってきた。それを僕たちに1つずつ渡し、彼の太鼓のリズムに合わせて皆で叩いた。太鼓のリズムは徐々にスピードアップし、そのうち腕が痙攣するほど激しくなった。テントの中を、太鼓の音色と笑い声が溢れた。

最後に彼が演奏してくれて、楽しかった夜の宴は幕を閉じた。おいしい食事と、食後の楽しい一時に満足し、ベルベル人のもてなしの心を感じることができた。そんな心に残る夜だった。




  




2013'01'17(Thu)19:04 [ サハラ砂漠 ] CM0. TB0 . TOP ▲
サハラの旅、砂漠のキャラバン
目の前にはモロッコ、“メルズーガの大砂丘”(Merzouga)が広がっていた。

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ホテルの敷地から階段を下りると、僕たちを4頭のラクダが待っていた。

砂、砂、砂・・・見渡す限りの砂。「これがサハラ砂漠か・・・」僕はつぶやいた。この場所こそサハラの旅の目的地だ。ここからさらにサハラ砂漠の奥へと足を踏み入れていくのだ。

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ラクダに鞍を付ける、青装束に身を包んだベルベル人ガイド。

いかにも「砂漠の民」といった出で立ちの、青いベルベル装束に身を包んだベルベル人の男性がここから先のガイドになる。僕たちは彼の先導で、砂の上に座り込んでいる4頭のラクダに、1人ずつ跨がった。彼の指示で、砂嵐に備えて頭に布をターバンのように巻き付けた。

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鞍に設置された金属製のT字型のバーが命綱だ。

僕たち4人がラクダに跨がると、ベルベル人ガイドの合図で一斉にラクダたちが立ち上がった。想像以上に激しい衝撃と、その高さに驚いたが、掴めるのは目の前にある金属製のバーだけ。バーは鞍に固定こそされているが、ラクダの動きによってグラグラとかなり不安定だ。

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砂漠に映るキャラバンの影。

ラクダたちは、隊列を組んで歩きはじめた。ラクダの脚がゆっくり同じペースで、確実に、砂を踏みしめていく。ギュッギュッという、ラクダの足音だけが砂漠に響いた。

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サハラ砂漠のサンセット。遙か彼方の砂の山に沈みはじめた太陽。

ラクダが踏みしめる砂の音と、ラクダの呼吸音───それ以外は完全に無音だった。出発当初は、ラクダたちが行き交う無数の足跡が残された砂の上を歩いていたが、地平線の果てにホテルの建物が見えなくなった頃には、いつのまにか地面に足跡は無くなっていた。

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太陽が砂の山へと消えていく。

西の空に太陽が沈みはじめていた。しかし、僕は写真を撮影するのに、ラクダと格闘していた。気を抜けば簡単に振り落とされそうになるほどの震動で、ラグダが一歩脚を踏み込む度に身体が金属製のバーに叩きつけられそうな勢いだった。落ちたらただでは済まないだろう。

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ついに太陽は砂山の彼方に沈んだ。

目の前にはかつてないほどの絶景が広がっているのに、思うように撮影できない。それでも僕は半ば強引にシャッターを切った。サハラ砂漠でサンセットを撮影できるチャンスは、人生の中でそう何度もないだろう。いや、むしろこれが最初にして最後のチャンスかもしれない。

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太陽が沈んだ後も、空はまだ明るかった。

太陽が遙か彼方の砂山の向こうに沈んでも、まだ空は明るかった。気が付くと僕たちは砂の孤島にいた。右も左も、前も後ろも、360度見渡す限りすべてが砂で、僕たち以外には人も建物も、空を羽ばたく鳥一匹すらいなかった。もはや「異世界」と表現するしかない。

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砂漠は完全な無音で、生命の営みを感じさせない不思議な空間だ。

この場所が、僕たちが暮らす世界と同じ星なのだとはにわかに信じられないくらい、不自然で、そして違和感のある空間が広がっていた。いつの日か、人類が別の惑星に降り立つことがあるとすれば、こんな感覚になるのだろうか、とラクダにしがみつきながらふと思った。

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砂漠を移動する自分たちの姿を垣間見るような、砂漠のキャラバン。

僕たち4人は、時々後ろを振り返って、お互いの安否を確かめた。どうも僕は写真を撮るのに必死で、時々落ちそうになっていたらしい。オーストラリア人の女の子は、以前ラクダに乗ったことがあるそうで、うまく乗りこなしていた。遠くに僕たちとは別のキャラバンが見えた。

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キャンプ入り口に到着。地面に散らばる無数のラクダの糞が目印だ。

ラクダに乗ってどのくらい移動しただろうか。遙か彼方にキャンプが見えた。敷地を簡易な柵で囲い、その中にいくつかのテントがある、今夜僕たちが滞在するキャンプだ。

キャンプの入り口でラクダたちが一斉に座り込んだ。僕たちはラクダの背から降りた。長時間ラクダに乗っていたおかげで、お尻が打撲と摩擦で痛かった。ラクダの足元には、黒いオリーブ状の丸い玉が無数に散らばっていた。乾燥したラクダの糞だ。ラクダたちにとって、この糞が目的地への目印になっていて、出発地点と目的地に彼らの糞が大量に散らばっていた。

澄みきった大気の中、砂漠に夜の帳が降りはじめていた。美しくパープルがかった空に、まるで銀河のような無数の星々が、浮き上がるように輝きはじめていた。




  




2012'12'14(Fri)20:32 [ サハラ砂漠 ] CM4. TB0 . TOP ▲
サハラ砂漠の入り口、メルズーガの大砂丘
サハラ砂漠の入り口 “メルズーガ”(Merzouga)まで、あとわずかの距離に迫っていた。

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オアシスを出発すると、すぐに乾いた砂の大地が姿を現す。

ガイドのベルベル人男性は20代後半、いや30代前半くらいだろうか。彼の態度の変化に気付いたのは、オアシスのベルベル人たちの集落を訪れた頃からだった。僕と2人で歩いていると「自分はセックスが好きなんだ」と、しきりに下ネタを連発するようになっていた。

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途中、ガソリンスタンドで休憩。念のため水を買っておいた。

内心面倒だなと思いながらも、適当に会話を合わせていた。しかし、オアシスのレストランでの昼食の後、状況が変わった。レストラン前に駐まっているバンに戻ると、彼の仲間数人が、ふざけて車の中に乗り込んできたり、騒いだりしていた。しかも、本来ガイドの役割はここまでのはずらしいのだが、彼はサハラ砂漠まで一緒に行くんだとドライバーに交渉しているのだ。

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砂丘へ行くには、ピステと呼ばれる未舗装の砂の道を走る必要がある。

妙な不自然さに、警戒心が煽られた。そこでようやく、僕たちのグループは、僕以外皆若い女性だったことに気が付き、彼らの意図が理解できた。考えてみれば、皆女性として魅力的だ。しかし、そうと分かれば彼がサハラ砂漠のキャンプまで付いて来るのはリスクが伴う。なんとしても阻止しなければ・・・と思ったときには「いい加減にしろ!」と日本語で言葉が出ていた。

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夕方、メルズーガ砂丘のホテルの敷地に到着。

それが彼に伝わったのか、はたまたドライバーに拒否されたのかは分からないが、結果的にガイドの彼は付いては来なかった。さて、僕たちのバンは、目的地であるメルズーガ砂丘に刻一刻と近づいていた。夕方、突如舗装道路から “ピステ”(道なき道)と呼ばれる、未舗装の砂の上を走りはじめた。平坦ではあるが、見渡す限り砂以外なにもない、紛れもなく砂漠の上だ。

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ホテルの敷地内も砂で覆われているが、ところどころに緑が植えられている。

バンはスピードを緩めることなく、ものすごい砂塵を巻き上げ走っていた。周囲には、僕たちのバンに並列するように、他のツアーの車も砂塵を上げて走っている。車内はガタガタガタ・・・・・・と小刻みに激しく揺れ、モクモクと外の砂埃が車内に充満していた。思わずカンボジアで乗ったバスを思い出した。最もこちらの方がシートが上等な分、乗り心地は幾分マシだが。

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敷地の下へと延びる階段を発見。下を覗くと起伏に富んだ砂漠が広がっていた。

ピステを1時間ほど走ってようやく到着したのは、ホテルのような建物がある敷地だった。ドライバーが「最低限の物以外、車に荷物を残していけ」というので、バックパックから洗面用具や着替えなどを取り出し、僕たちはバンを降りた。フロントで登録を済ませ、準備が整うまでの間、敷地の中を散策することにした。ホテルのある敷地は高台になっていて、グルリと周囲を見渡すことができる。夕暮れ時の砂漠は、ポカポカと暖かく、そして驚くほど静かだった。

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遠くには、ラクダのキャラバンの姿が。

砂漠へと伸びる階段から下を見下ろすと、そこには砂漠が広がっていた。高台の上とは明らかに違う、起伏に富んだ柔らかな砂の大地が、延々と続いている。階段の脇にはラクダが数頭座り込んでいた。遠くからラクダのキャラバンが近づいてきた。キメ細かいオレンジ色の砂の山に太陽の光が当たり、斜面の影が美しいカーブを描いている。今、目の前に、夢にまで見たサハラ砂漠が広がっている。そう、ここからは砂漠の奥へと足を踏み入れることになるのだ。




  




2012'11'30(Fri)18:05 [ サハラ砂漠 ] CM2. TB0 . TOP ▲