見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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ジブラルタルを目指して、フェズからタンジェへ
早朝のモロッコ、フェズの鉄道駅。僕と先生はここで別れ、それぞれの旅路を進む。僕はジブラルタルを渡りスペインへ。先生はモロッコ、カサブランカへと向かうのだった。

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明け方のフェズ駅。ここからは別行動だ。

まだ太陽の昇らない薄暗い中、駅のカフェで最後の晩餐ならぬ別れのエスプレッソを飲んだ。ウインドウの中にあったおいしそうなチョコレートケーキを付けて。

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フェズ駅構内にあるカフェのエスプレッソとチョコレートケーキで、朝の時間を過ごした。

フェズ駅の中にはキオスクのような売店もあって、プリングルスやフリスクのような欧米系のお菓子も売っている。次はいつ食事にありつけるか分からない。僕は長旅に備え、ミネラルウォーターと、昼食用にパニーニのサンドイッチ、プリングルスなどを買い込んだ。

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ホームに人は少ない。早朝に鉄道を利用する人はそう多くないようだ。

そうこうしているうちに、僕が乗る鉄道がホームにやって来た。「また会おうね」「道中気をつけて」僕は先生と別れの挨拶を交わし、鉄道の車両に乗り込んだ。

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車窓越しの日の出。1人で見る日の出は感慨深いものがあった。

ほどなく鉄道は走りはじめた。窓の外に、ようやく昇りはじめたオレンジ色の太陽が輝いていた。1人で座席に座っていると、ここからは1人旅なんだなと改めて実感するのだった。

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アフリカ大陸の北端、地中海側に近づくにつれ、緑の多い風景へと変化していく。

鉄道は指定席だったが、朝早いせいか僕の周りの座席はまだ空いていた。1人になった寂しさはあったが、気楽な鉄道旅だ。目指すはアフリカ大陸北端の街 “タンジェ”(Tanger)だ。

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ホームと線路の段差がほとんどない、素朴な田舎駅。

途中、乗り換えのため、小さな田舎の駅に駐まった。立て札には “Mechraa Bel Ksiri” 駅と書かれている。ホームで乗り換えの鉄道がやって来るのを待っていると、30代くらいの欧米人カップルが声をかけてきた。男性は白人で女性は黒人という、ちょっと珍しい組み合わせだった。

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昼食のサンドイッチをかじる。(左)海が見えてきた。こちらは大西洋側だ。(右)

やあ、君はどこから?僕たちはアメリカから」「僕は日本からだよ。よろしく」軽く挨拶を交わし、しばらく雑談をしていたが、やがてホームに鉄道がやって来ると、別れの挨拶をしてそれぞれの車両へと乗り込んだ。今度は先ほどとは違い、座席はほとんど埋まっていた。

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蒼い空の下、遠方に突如現れた白い街、タンジェ。

対面の座席には、立派な髭を蓄えた年配の白人男性と、その妻らしき女性が座っている。僕は昼食用に買っておいたパニーニのサンドイッチをかじった。そして、ミネラルウォーターのペットボトルにヴァームウォーターの粉末を入れたのだった。これがまずかった。

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白い建物がせり上がり密集した街の景観は、実にドラマチックだ。

彼らの目には、見慣れない白い粉末を入れる不審な東洋人のように映ったようだ。対面に座っている男性が、疑惑の目で問いかけてきた。「どこから来たのか」「どんな仕事をしているのか」「その粉は何なのか」彼の意図を咄嗟に悟って、きちんと順を追って説明した。「日本人です。洋服のデザイナーをしています。この粉は心配しないで。スポーツドリンクなんです。ドラッグじゃないですよ!」それを聞いて安心したのか、彼の顔が笑顔になった。話を聞いていると、中国人がドラッグの密輸入をしていて、彼も取り締まる仕事をしているのだとか。

それからはずっと和やかに会話をして過ごした。正直ずっとしゃべり続けていたので少し疲れたけど、気が付くと目的地タンジェの街が遠方に見えてきた。エキゾチックな白い建物が山のようにせり上がり、これまでのモロッコの街とは随分違った開放的な雰囲気だった。サハラ砂漠に続く、この旅のもうひとつの見せ場 “ジブラルタル”(Gibraltar)はすぐそこに迫っていた。




  




2013'05'31(Fri)19:16 [ フェズ ] CM0. TB0 . TOP ▲
夜のフェズと丘の上の墓場
モロッコ、“フェズ”(Fez)のメディナ───夜、城壁の外に出て小高い丘の上にのぼると、それまでの喧噪が嘘のような静かな世界が広がっていた。

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よほど土地勘が無いと、迷ってしまうフェズのメディナ。

迷路のようなメディナの中を歩いているうちに、現在位置を見失ってしまった。いつのまにか太陽が沈み、夕方の店の灯りが石造りの通りを照らしはじめた。

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夕方のメディナは、地元の人たちで賑わっている。

暗くなる前に帰路につきたい。僕と先生は、まずは城門を目指すことにした。城門があれば、現在位置が把握できるからだ。夜のメディナは地元の人たちで活気があった。

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道端の崩れた石畳の中で、気持ち良さそうに眠る犬と、その上で寝る猫。

アクセサリーやインテリア、土産物などを作る職人たちのメディナでは観光客の姿も見かけるが、少し道を外れると、地元の人たちが集まるカフェや食堂が軒を連ねている。

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城門近くは雰囲気がガラリと変わり、整然としている。

夕暮れ時の通りの中に少しの間佇んでいると、自分もその中に溶け込んでしまうような気がする。歩いているうちに風景が変わってきた。どうやら城門は近そうだ。

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メディナを出ると、無人の荒野が広がっている。(左)丘の上に並ぶたくさんの墓。(右)

僕たちは城門からメディナの外に出た。城門から一歩外に出ると、人の往来は急に途絶え、建物の影すら見えない閑散とした世界が広がっていた。すぐ近くに丘のようなものがあった。

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城壁の外からフェズのメディナを一望できる、絶景スポット。

夜の帳が降りはじめた、暗く人気のない場所で長居をするのに少し緊張感があったが、僕たちは丘の上に登ってみることにした。丘の上にはたくさんの墓が並んでいて、フェズのメディナを見渡せる絶景スポットだった。紫がかった夜空と、街の灯りが美しかった。

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イビスのレストランで食べたタジンなどのモロッコ料理。

結局かなり時間はかかったが、僕たちは城壁近くのタクシー乗り場からタクシーでホテルのある新市街へと戻った。ホテルに戻るとハラペコで、宿泊していた “オテル・イビス・ムサフィール”(Hotel Ibis Moussafir)のレストランで、少し遅めのディナーを食べたのだった。




  




2013'05'20(Mon)18:48 [ フェズ ] CM6. TB0 . TOP ▲
モロッコ、タンネリとフェズの職人たち
カサブランカ、マラケシュ、砂漠の町やサハラ砂漠、そしてここフェズ。長いモロッコでの滞在で、リヤドをはじめ様々なタイプのホテルに宿泊してきた。しかし、どのホテルも味はあるが建物は古く、設備的には快適とは言えなかった。フェズで新たに選んだホテルは、その点では大成功だった。快適さという面では、やはり近代的なホテルは素晴らしいものだった。

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イビスはモロッコの大都市を中心に点在しているが、特にフェズがオススメ。中庭にはプールがある。

僕たちが新たに宿泊することにしたのは、以前から気になっていた “オテル・イビス・ムサフィール”(Hotel Ibis Moussafir)というフェズの駅前にあるアクセスのいいホテル。フランス系のチェーンホテルだが、宿泊料はそこそこリーズナブルで、フリーWifiもバッチリ。フェズ観光では立地の良さも含め、非常に使いやすいホテルだ。久しぶりに便利さを満喫できた。

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城壁の門をくぐりメディナの中へ。目指すはモロッコ屈指の職人街。

午前中、宿を移動し、再びメディナへ。フェズのメディナは、モロッコ屈指の職人街で有名だ。同じ商品でも他の街で売られている物よりクオリティが高く、種類も豊富な感じがした。

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店先で製作に励む職人たち。細く複雑に入り組んだ路地は迷いやすい。

職人街はまるで迷路のように入り組んでいた。ガイドブックのマップではとても事足りず、僕たちはすぐに現在位置を見失ってしまった。職人街と言うだけあって、職人たちは店先で自分たちの製作物に夢中になっていて、ここでは観光客に商品を売るのは二の次のようだ。

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道にも迷ったが、地元の子供たちにすっかり参ってしまった。悪意はないと信じたいが・・・。

歩いていると地元の子供たちがしきりに案内してやると話しかけてくる。しかし、どこかの目的地を目指しているわけではないし、案内料を請求されても困るので「大丈夫、必要ないよ」と答えたのだが・・・尋常じゃないしつこさで、どこまでも追ってくるのだった。

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店の裏手に大規模な作業場が広がっている。

散々迷った末に、ようやくたどりついたのが革染色の職人街、通称 “タンネリ” と呼ばれる “スーク・ダッバーギーン”(Souk Dabbaghin)だ。細路地の店内から階段を上ると、革を染色する大規模な作業場の屋上に出る。下を見下ろすと、革を染色する染色桶が大量に並んでいた。

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作業場の屋上から見た、革を染色する染色桶。なかなか壮大な風景だ。

各桶には様々な色の顔料が入っていて、桶につけ込んで革を染色するのだろう。モロッコの革製品は非常に色彩豊かだが、作業場を見ればあの色バリエーションの豊富さに納得できる。

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天日干しをしている染色前の革。服よりもインテリアや小物に向いている革だ。

僕は仕事柄これまでたくさんの工場を訪れてきたが、モロッコの革染色の作業場は規模も大きく独特だ。モロッコの革は大味で、オイル感がなくパサパサしていて、繊細で高級感のあるスペインやイタリアの革とは異なるが、独特の色彩の商品は気軽さがあって見ていて楽しい。

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フェズの絶景はこんなところに。作業場の屋上から夕方のフェズの街を眺める。

作業場の屋上は見晴らしが良く、職人たちが作業をする姿だけでなく、街の全景も見渡せた。ちょうど時刻は夕方に差しかかり、太陽が沈みはじめたところで、太陽の光で陰影が付いた街が美しく佇んでいた。僕たちはしばらく屋上で過ごし、タンネリを後にしたのだった。




  




2013'04'30(Tue)17:56 [ フェズ ] CM0. TB0 . TOP ▲
フェズ、生鮮食品のスーク
まるで迷路のような、モロッコ・フェズの “メディナ”(旧市街)を歩く。いつのまにか夜になり、裸電球に照らされ黄色く染まった石造りの細路地を、奥へと進んだ。

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モロッコで、必ずと言っていいほど付け合わせで出てくるオリーブ。

僕と先生は、生鮮食品のスークに足を踏み入れていた。地元の人たちのスーパーマーケットのような市場で、夜にも関わらず活気があった。市場にはモロッコの食材が揃っていた。

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こちらもオリーブの店。定番のブラックとグリーン以外にも、いろいろ種類があるようだ。

モロッコの食生活を知るには、生鮮食品のスーク(厳密には生鮮食品に関わらず、乾物など様々な食材を取り扱っている)を歩くのが一番。様々な食材を扱う店を見て歩いた。

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ミントなどのハーブ(左)や豆などを扱う店(右)も。

モロッコの人たちが毎日頻繁に飲むのがミントティー。ミントティーを頼むと、グラスの中にミントの葉がたっぷり入っている。また、豆類もクスクスなどの煮込み料理には重要な食材だ。

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観光客にも人気がある、ドライフルーツなどを売る店。

こちらはドライフルーツなどの乾物の店。売り場が商品で埋もれてしまうほど積み上げるのがモロッコ流。量り売りで驚くほど安く、種類も豊富なので、旅行者にもオススメ。

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肉を売る店。生肉が剥き出しで店頭に並んでいる。

煮込み料理がメインのモロッコでは、最重要な食材とも言える肉。生肉を外気に晒して売るのは日本とは異なる。一見不衛生に見えるが、タジンやクスクスに入っている肉は実にうまい。

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スークの様子。(左)野菜を売る店。(右)

もちろん野菜を扱う店も軒を連ねている。スーク内には、同じような品揃えの店が固まってたくさんあるが、きっとそれぞれの店の特徴みたいなものがあるのだろう。

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こちらの肉屋ではソーセージを扱っている。

肉屋は店頭で生肉が剥き出しになって置かれているので、結構生々しい。店の前に生きた鶏などが入った籠が置かれているところもあり、なんだかかわいそうなんである。

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生きた鶏が入った籠が積まれている。外に出ている鶏もいて、なぜか逃げない。

人が肉を食べる以上、その動物はどこかの段階で殺されているわけで、当たり前のことなんだけど、店先に生きた動物や、生首がぶら下がっているとショックを受けてしまうのだ。

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肉を狙うネコ!いや、眺めているだけなのかも・・・しれない。

ふと足元を見ると、1匹のネコが。こちらの視線には気付かずに、じーーーっと頭上の肉を見入っている。店主の隙を突いて肉をジャンピングキャッチするのだろうか。

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「なんだよう」「おれも腹減った」なんて会話をしているのだろうか。

すると、どこからかもう1匹が。目の前に鳥の生肉が置かれているんだから、そりゃたまらないだろう。これは想像だけど、きっと店主が時々あげているんじゃないかな。

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穴がポコポコ空いた、“バガリール” というモロッコ風パンケーキ。

モロッコ風パンケーキの店。ホテルの朝食ビュッフェなどで出てくるので、モロッコに滞在すると食べる機会はあるかもしれない。バターやハチミツを付けて食べる。

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フルーツを売る店。こちらも旅行者が利用しやすい店。

店によって多少品揃えは違うけど、バナナ、りんご、 オレンジ、グレープフルーツなど、馴染みのあるフルーツが並んでいた。旅先でフルーツを売る店を見つけると安心します。

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1日の締めくくりはクスクスで。なんとも贅沢なひととき。

とまぁそんなわけで、なんとかスークから生還して夕食のクスクスを食べながら、スークで見た食材のことを考えるのだった。付け合わせのオリーブに、ニンジン、瓜、ヒヨコ豆、レーズン、チキンやビーフなどの肉類・・・どれもスークで売られていた物ばかりですね!




  




2013'04'14(Sun)18:27 [ フェズ ] CM0. TB0 . TOP ▲
モロッコ、フェズの王宮と旧市街
大きな石造りの門(ジェバラ門)をくぐると、緑の生い茂るのどかな風景から、人々が行き交う雑多なスークへと雰囲気がガラリと変わった。モロッコ、“フェズ”(Fez)の旧市街だ。

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門をくぐると雰囲気がガラリと変わる。ここから旧市街になる。

とは言ってもここはまだ旧市街の入り口。奥へと進めばより活気のあるスークがあるはずだ。僕たちはまず広大な旧市街の西側を大きく占有している王宮(Dar el Makhzen)を目指した。

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王宮へつながるフランセ通りは優雅さが漂っている。奥に見えるのが王宮だ。

王宮と旧市街を結ぶ大通り “フランセ通り” は、商店の類もなく人通りはまばらだ。それでいて道幅は広く、道の両脇にはたくさんの緑が植えられているので、どことなく優雅な雰囲気だ。

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王宮手前の広場。旧市街の入り口であり、起点となる場所だ。

王宮はかつての王たちの居城であり、何世紀にもわたり増改築が施された。現在はモロッコ国王がフェズ滞在のときに使われるのだそう。王宮手前にはだだっ広い広場がある。

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スークの中へと入る前に、休憩することにした。先はまだ長い。

残念ながら王宮に入る事はできない。僕たちは再び旧市街に向かって歩いた。いつのまにかすっかり夕方になっていた。僕たちは広大なスークに入る前に休憩をとることにした。

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大振りのグラスに、ミントの葉がいっぱい詰まったミントティー。

一度雑多なスークに足を踏み入れると、休憩できる場所を見つけるのは一苦労だ。スーク手前のカフェでミントティーを頼んだら、立派なグラスにミントの葉がどっさり入っていた。

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マラケシュのスークとは明らかに雰囲気が違う。

体力を回復したらスークを奥へと進んでいく。フェズの旧市街は、マラケシュのフナ広場(ジャマ・エル・フナ)のようなものはないが、スークの活気はフェズの方があるような気がした。

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細道に、露店が所狭しと連なっている。

マラケシュのスークは広範囲に広がっていて、純粋に規模だけ見ればフェズよりも大きいが、少しエリアを外れると閑散としているので、フェズのほうがマーケットが凝縮している印象だ。

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革製品のスーク。見はじめたらキリがないほどのバリエーション。

初日なので、商品を横目に歩けるだけ歩くことにしたのだが、パッと商品を見る限り、マラケシュのものよりクオリティが高そうだった。さすが職人の街というところだろうか。

迷路のように広がるスークを、思うままに奥へ奥へと進んでいく。革製品のスークを歩く頃には、日が暮れて夜になっていた。通りを照らす裸電球が辺りを黄色に染めていた。




  




2013'04'02(Tue)19:20 [ フェズ ] CM0. TB0 . TOP ▲