見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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ガンジス河と暮らす人々
聖なる河 “ガンガー”(Ganga)が流れる、インド最大の聖地 “ヴァラナシ”(Varanasi)は、ヒンドゥ教徒にとっては生と死を象徴し、肉体の世界と精神の世界が交差する場所だと考えられている。ヒンドゥ教では、この場所で死ぬと生と死の輪廻から解放される(解脱できる)と言われ、それ故に信者にとっては理想的な死に場所とされている。

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対岸に昇るガンガーの朝陽。

僕は、初めてガンジス河の風景を見たとき、あぁ、これは日本で言う 「三途の川」なんだなと思った。三途の川というのは “この世” と “あの世” との境目にあるとされる川で、このヴァラナシのガンジス河の景観は正にそのイメージ通りと言っても過言ではない。宗教的理念も含めるとなおさらここが三途の川なのではないかと思えてくる。

さらに興味深いのが、“こちら側” と “向こう側” の川岸の趣があまりにも異なるところだ。乱立してそびえ立つ建築物が無尽蔵に連なる人間の “” を感じさせる側に対して、対岸は何一つない砂漠地帯で “” の世界なのだから、これほど面白い対比はないだろう。

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川岸で洗濯に精を出す洗濯屋さんの仕事風景。(左)近くで見るとなかなかの迫力。(右)

さて、早朝のガンガーをボートで上ると、川岸から「バッチーン!バッチーーン!」とすごい音が聞こえてきた。何かと思って見てみると、いわゆる洗濯屋さんの仕事風景だと思うのだが、足下に置かれている洗濯石に、衣類を力の限りの凄まじい勢いで叩きつけていた。

日本のソフトに洗う洗濯事情では考えられない光景で、絶句してしまうこと間違いなしなのだが、この光景を見てしまうと、とても自分の服を預けようとは思えなくなってしまう。たぶん生地が破れたり、ボタンが取れたり、なんてのは日常茶飯事なんだと思う。

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建築物が建ち並ぶ側と、何もない対岸。

ボートを漕いでいるサントスに、「君はここで生まれ育ったのかい?」と聞くと、「ああ、ここで生まれて、ここで育ったんだ」「兄さんと二人でボートを漕ぐ仕事をしている、ほらさっき乗り場にいたろ?」と言って、ガンガーの水をすくって口に含んだ。

僕たち日本人には、沐浴のために水に浸かることすら躊躇してしまうガンジス河の水を、飲水として飲む彼等。ガンガーと暮らすというのはこういうことなんだなと思った。

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観光客のボートに混じって、物売りのボートもたくさん浮かんでいる。

ボートに乗っていると、時折様々な物を売りに、物売りのボートが近づいてくる。売っている物の大半は水面に浮かべるロウソクや花びら、ちょっとした土産物の類。

僕は1人でボートを貸し切っていたせいか、はたまたヒンドゥ教の信者でないのが明白なせいなのかは分からないが、どちらにせよ儲からないと思ったのだろう、無数にいる物売りのボートは僕のボートにはあまり商売熱心には近づいてこなかった。

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昇っていく太陽は、赤からオレンジ色へと変化していく。

ヴァラナシの雲一つ無い澄み切った空のせいか、あるいは対岸の周囲に何一つない開けた場所だからなのか、はたまた水上でひたすら眺めることのできるシチュエーションのせいなのかは分からないが、これまでこれほどまでに日の出と共に変化する太陽と空の表情を感じられたことはなかったような気がする。少しずつ変化していく様がはっきりと感じられた。

太陽が上に昇っていくにつれて、太陽の色や表情がガラリと変化し、輝きが強くなるにつれて、水面の反射している光の筋も、強く、長くなっていく。それまで鈍い赤味を帯びていたのが、徐々に強いオレンジ色に変化し、さらには白味を帯びて金色へと変わっていく。

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いつもたくさんの人で賑わうダシャーシュワメード・ガート付近。

ヴァラナシは昼夜問わずお祭りのような街で、早朝はご覧の通りまだ太陽が昇る前から沐浴客や観光客で賑わい、夜になってもライトアップされその賑わいは衰えない。インドの他都市のような先進性(そもそも際立った先進性はないが、あくまでもヴァラナシと比べれば)はないが、他に類を見ない一種独特なエネルギッシュな空気がこの街にはある。

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男性だけでなく女性も沐浴している。(左)女性だけが集まって沐浴するガート。(右)

沐浴しているのは男性だけでなく、もちろん女性の姿もある。ガートの中には女性が集まるガートがあって、多くの女性はそこに集まって沐浴しているようだった。男性が下着だけの半裸で沐浴するのに対し、女性はある程度衣服を着用したまま沐浴していた。

ヒンドゥ教では、ガンガーの水で沐浴すればすべての罪は浄められ、死後の遺灰をこの河に流せば輪廻から解脱できると信じられている。罪はともかく遺灰を流すのはちょっと・・・。

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物売りのボートと、右奥にはツアー客のボートが。

太陽が金色へと変化してきたのが分かるでしょうか?それまで紅かった空の色が、不思議と青みを放っていきます。オレンジと青のグラデーションの色彩が何とも言えない。

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水面に浮かべる花びらを売る女性。皿の上に花びらが乗せられ、中心にロウソクがある。

予想以上にサントスが丁寧なガイドをしてくれたので、僕はこの早朝のボートがすっかり気に入ってしまった。サントスの控えめなキャラクターにも好感が持てた。

値段はボートを1人で貸し切って1時間100ルピー。インドの貨幣価値的には安くはないが、これだけの貴重な時間をすごせるのなら安いものだ。帰り際、「サントス、明日もお願いできるかい?」「今度は対岸や上流の方も見てみたいんだ」と彼にお願いしていた。

ずっと憧れていたヴァラナシの風景。初めてのヴァラナシは、早朝、ボートの上で見たガンガーから始まった。果たしてこれからどんなヴァラナシが広がっていくのだろうか。
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2010'08'19(Thu)18:37 [ ヴァラナシ ] CM4. TB0 . TOP ▲
COMMENT


お久しぶりです。

ヴァラナシ・・・
いいですね。(←ありふれた表現ですみません)
刻々と色を変えていく朝日、そして照らされる建物・・・
なんだかスゴく空気感が伝わってくるようで・・・
行って、静かに時間が流れるままに、カンジスとその周囲の光景を眺めていたくなりました。

2010/08/20 00:57  | URL | プライサニー #HfMzn2gY [edit]


プライサニーさん、こんにちは!

ヴァラナシ滞在中、正にそんな感じでヴァラナシを何度も
訪れている人たちと出会いました。

彼等はヴァラナシのみに長期滞在し、何度も訪れている
ようで、ガンジス河とヴァラナシの魅力にやられてしまった
ようなんです。

インド人と結婚して、現地に住んでいる人たちでも移住の地に
ヴァラナシを選択する人は多いような気がします。実際、多く
の日本人経営のお店がヴァラナシにはありました。

そんな魅力的なヴァラナシなので、機会があったら
プライサニーさんも訪れてみてください!
2010/08/20 19:18  | URL | Garyo #- [edit]


こんばんは!chempakaです!

カンボジアに行っている間にヴァラナシ編に
なっていました!(笑)

僕がヴァラナシに行ってみたいのは
『人間の存在』ってなに??という永遠のテーマに
何かしらの答えが得られるのでは。。。という期待感からですね~。
絶望するかも知れませんが(笑)

火葬の様子、死を待つ人々、沐浴する人等を
じっくり眺めながら、そんな事を考えたいです。

それにしても美しい写真が多いですねえ~。
7枚目の朝日の写真がお気に入りです!
2010/08/20 21:48  | URL | chempaka #- [edit]


chempakaさん、おかえりなさい!

カンボジアはどうでした?
僕もようやく次の旅のリサーチに入りました。

人間の存在とはなにか、ですか・・・難しいテーマですね。

精神的に、あるいは科学的にといろいろな角度から見ることが
できそうですが、もしかしたら日本やインドといった地球的な
見方でなく、宇宙における人間の存在という視点で見ると、
もっとシンプルな答えがでるかもしれませんね。

その答えが見つかるかは分かりませんが、確かにヴァラナシには
生と死を感じさせる独特の世界観があるので、ガンジス河を
眺めながらのんびり過ごすのはいいかもです。
2010/08/21 01:50  | URL | Garyo #- [edit]
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