見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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激闘!? ヴァラナシ駅
インド、ヴァラナシから新たな旅が始まる。

次の目的地は “ブッダ・ガヤー”(Buddha Gaya)。ヴァラナシをヒンドゥ教最大の聖地と表現するのであれば、ブッダ・ガヤーは仏教最高の聖地と言うことができる。ブッダ・ガヤーはその昔、ブッダがこの地の菩提樹の下で悟りを得た場所だと言われている。

日本は仏教に大きな影響を受けている国で、祭事や冠婚葬祭など、知らず知らずの間に仏教の慣習が生活基盤となっているが、僕自身はとりたてて敬虔な仏教徒というわけでもなく、これまでインドに数多く点在する仏教の聖地や仏跡にはそれほど特別な関心を持たなかったが(あまりにも数が多いというのも理由の一つ)、ブッダガヤーには妙に惹き付けられるものがあった。いったいブッダはどのような場所で悟りを得たというのだろうか。

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苦労しながらも深夜のヴァラナシ駅に到着。

なにはともあれ、まずはブッダ・ガヤーに到着しなければ話は進まない。ブッダ・ガヤーはこれまでとは違い、都市と表現するよりは村と表現するほうがしっくりくるような小さな田舎町で、それ故にこれまでと比べると交通のアクセスがあまりよくない。鉄道で直接ブッダ・ガヤーへと行くことはできず、まずは最寄り駅であるガヤー駅へと向かい、そこから2㎞ほど先にある乗合タクシー乗り場を経由し、リクシャーなどを乗り継いで、ブッダ・ガヤーへと向かうのである。

ヴァラナシからガヤーへと向かう鉄道は早朝5:40amの便で、ホテルからヴァラナシ駅まではリクシャーを利用しなければならないため、随分早い時間帯にホテルの部屋を後にした。まだ夜中3時頃だろうか、ホテルはすっかり寝静まっていて、エントランスの鉄の扉を開けるのさえ一苦労だった。かわいそうだが、エントランス前の床で眠るホテルのスタッフをたたき起こし、目覚めの悪い不機嫌そうな彼に催促してようやく重たい鉄の扉は開いたのだった。

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ヴァラナシ駅の構内には鉄道の発着を待つ人々でいっぱいだった。日本では考えられない光景だ。

ホテルを出発して、真っ暗闇の細路地の中、足下のトラップに最大限の注意を払いながら足早に移動し、目抜き通りのダシャーシュワメード・ロードへと出てみたものの、日中の喧噪はどこに行ったのやら、その面影すらない静寂した無人の光景に、しばし立ち尽くしてしまった。この場所で、なんとか駅まで向かうリクシャーを見つけなくてはならない。

通りをよく見ると停車しているリクシャーの中で眠っているドライバーの姿があった。さっそく近づいて彼に呼びかけてみるが反応がない。なんとしても起きてもらわないと困るので、懸命に揺り動かしたが起きる気配もない。仕方なく近くに停まっている別のリクシャーへ。

先ほどと同じように声をかけてみるがやはり反応がないので揺り動かしていると、今度は深い眠りから重たい目を開けてくれた。「寝てるところすまないけど、ヴァラナシ駅まで行ってくれないか?」と言うと、とってもしんどそうな目で僕を睨む。「君しかいないんだ、頼むよ、運賃はずむからさ」そう伝えると、彼はしぶしぶリクシャーのエンジンを回した。

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駅のホームに牛が!? 前方からノッシノッシと歩いてくる牛の姿が。

程なくヴァラナシ駅に到着し、駅の構内に1歩足を踏み入れると、そこは異様な光景だった。鉄道の発着を待つ人々が一様に床で寝ていて、足の踏み場もないほどだった。しかし長らくインドを旅してきて、今さらこんなことに驚いてはいられない。床に寝る人々の隙間を縫うように歩き、なんとかホームまでたどり着いた。問題はここからだ。

時計を見ると僕の便が到着する5:40amまでまだ30分ほどある。しかし、これまでの経験から、鉄道が予定時刻に到着した試しがない。今回は一体何時間遅れるのだろうか。アーグラーの時と同じ7時間?10時間以上遅れたなどという話も聞いたことがある。でももしかしたら・・・定時に到着するかもなどという淡い期待をほんの少しだけ抱いていた。しかし、残念ながらその期待はものの見事にわずか1時間で打ち砕かれることになってしまった。

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ホームをノラ犬が走り回っているのはよく見かけたが、さすがに牛には笑ってしまった。

到着予定の時刻が過ぎ、当分は到着しないであろうことが十分予想できたので、しばらく駅の “Waiting Room” で仮眠を取ることにした。バックパックからムラ染めの大きな布を取り出し、それをマントのように羽織り、自分とバックパックなどの荷物を覆うようにして目を閉じた。もちろん1人旅故に完全に熟睡するわけにはいかない。熟睡してしまうと、荷物に注意を払うことができなくなってしまう。目を閉じていながらもある程度の意識は残していた。

そうやって数時間が経過しただろうか。Waiting Roomから外に出ると、外はすっかり太陽が昇り、明るくなっていた。時折構内に流れる発着の放送は注意して聞いていたつもりだったが、もしかしたら聞き逃している可能性もある。そういえば、アーグラーの時は深夜だったが、この時間であればもう “Enquiry” (インフォメーション窓口)が開いているかもしれない。僕は駅の構内の外にあるEnquiryまで行ってみることにした。

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ヴァラナシ駅のホームには牛もいます。(左)線路にポイ捨てしたゴミを清掃する係員。(右)

Enquiryはすごいことになっていた。窓口の前はものすごい黒山の人だかりになっていた。皆我先にと他人を押しのけ、窓口に近づこうと必死の形相になっていたが、僕も自分の鉄道の便がどうなっているのか確かめなければならない。背中のバックパックが気にはなったが、そのまま人の群れに突入した。もみくちゃになりながらもようやく窓口に近づいたが、すこしでも窓口に近づくと、どけと言わんばかりにあからさまに押しのけようとしてくる。

しかし、僕には秘策があった。こうなるであろうことを想定し、予め “RHODIA” の単語帳くらいのサイズの小さなメモに便名を書き込んでおいたのだ。押しのけられながらもすかさず窓口のガラスにメモ帳を押しつけ、指差した。それを見た係員は 「その便は6時間以上遅れている」 と大まかな到着予定時刻の目安を教えてくれた。少なくともまだ到着していないことが分かってよかった。おそらく運が良かったのだろう、あるいは外国人旅行者であることを配慮してくれたのかもしれないが、混沌とした中、僕に教えてくれた係員に心から感謝した。

インドの移動は大変だ。広大なインドの国土を鉄道で移動できるのは非常に便利ではあるが、その反面、鉄道の遅延は凄まじく、予定通りに事が進まないことがほとんどだ。1人旅だと長時間の荷物の管理などもあり、なかなかハードだったりする。

果たして無事ブッダ・ガヤーへとたどり着けるのだろうか。
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2010'09'21(Tue)20:38 [ ヴァラナシ ] CM0. TB0 . TOP ▲
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