見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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ナイランジャナー川を越えて
大陸と表現するに相応しい、広大なインド亜大陸。その原風景こそ僕を魅了してやまない、今回のインドの旅でもっとも体感したいと望んでいた世界だ。

現代から約4600年程遡った紀元前2600年頃、この地のインダス川流域に世界四大文明のひとつとされる “インダス文明” が栄えた。インダス文明は、後に移住してきたアーリア人がガンジス河流域の先住民を支配してカーストに基づく社会を形成し、それが今日のインド社会の基盤となっている。インドには、今尚古代の風習が息づいているのである。

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スジャーターの橋の手前には商店などがあり、現地の人たちで賑わっていた。

ブッダ・ガヤーの町から北にしばらく歩くと、“ナイランジャナー川”(Niranjana/Phalgu River)という大きな川が流れている。この川に架かっている “スジャーターの橋”(Sujata Bridge)という橋を渡ると、その先に “セーナー村”(Sena Village)という小さな集落がある。

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橋の手前の風景。遙か遠方に向こう岸が見える。(左)炎天下の中、木陰で涼む人の姿も。(右)

セーナー村は別名スジャーターの村とも呼ばれ、6年にも及ぶ厳しい苦行の末衰弱したブッダに、この地に住むスジャーターという名の娘が乳粥を供養し、その命を救ったという伝説があり、その後ブッダはあの有名な菩提樹の下で悟りを得て仏教が成道したと言われている。

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炎天下の中、橋を渡る。人通りはそれほど多くなく、そのほとんどが徒歩、あるいは自転車だった。

そんな伝説が残っているセーナー村へと向かうべく、日中の強烈な陽射しの中、僕はひたすら歩いていた。スジャーターに関する伝説の真偽はともかく、この場所でならもしかしてインドの原風景が見れるかもしれないという淡い期待があった。これまでいくつかのインドの街を訪れてきたが、原風景と表現できるような風景には未だに出会えていなかった。

まずはナイランジャナー川を越えなければならない。橋の手前には商店が集まっており、現地の人たちで賑わっていた。この先、セーナー村には飲料水などの入手が困難であることを聞いていたので、予め1リットルのミネラルウォーターのペットボトルを買っておいた。

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はるか遠方に前正覚山のシルエットが。(左)前正覚山はブッダが修行したとされる山。(右)

さっそくスジャーターの橋を渡りはじめる。橋の入口から前方を見ると、向こう岸まではかなりの距離があり、はるか遠くに対岸に生い茂る木々の緑がうっすらと見える。しかし、ここまで来ていまさら引き返す手はない。とにかく歩いて歩いて歩き倒すのみだ。

しばらく歩くと、平坦な砂地帯の奥に山のシルエットがうっすらと浮かび上がってきた。“前正覚山”(ぜんしょうかくざん)と呼ばれる、ブッダが苦行を行った有名な岩山だ。前正覚山の名前の由来だが、ブッダが正覚(悟り)を得るに修行したということらしい。

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橋の中央にて。乾いた空気がまるで砂漠の中にいるようだった。雨季に水が流れるのが信じられない。

橋を渡った第一印象は、「あれっ、川がない!?」だった。橋の下には、砂漠さながらの乾いた砂地帯が広がっていたのである。これほど大きな川の水が干上がってしまったのだろうか。どうやらこの川は雨季になると流れ、乾季になると干上がって砂地になってしまうようだ。これほどの巨大な川が、雨季の増水期以外は干上がってしまうというのはなんとも不思議なものだ。

ブッダ・ガヤーでは酷暑期が4~6月で、雨季が6~9月なので、僕が訪れた3月下旬はギリギリ酷暑期の前といったところだろうか。調べてみると、ナイランジャナー川に水が流れている写真もあったので、おそらく9月頃に訪れれば本来の川らしい風景が望めるのではないかと思う。

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川の中程に佇む少年。何をしているのだろうか。(左)同じく川の中程で生活する女性。(右)

対岸に近づくと、徐々に砂地帯に緑が見えはじめた。周囲を見渡すと、川の中(砂地帯ではあるが)を歩く少年の姿や、掘っ立て小屋のような小さな小屋で生活する女性の姿があった。雨季になって川の水に飲まれてしまわないのだろうかと気にはなったが、その時は移動するのか、はたまたそこまでは水がこないのか。いずれにしても何らかの手段でうまくやるのだろう。

見渡しのいい砂地帯なだけに、川の中に捨ててあるプラスチックゴミが目に付いた。特に対岸近くになると捨てられているゴミの量も増えているように感じた。

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橋を渡った先にある商店。セーナー村の入口だ。人影は少ないようだが・・・。

橋を渡って少し歩くと建物があり、ちょっとした商店になっていた。ここがセーナー村の入口だろうか。橋を渡る人の姿もまばらではあったが、渡った先には人影はほとんど見えず、静かだった。それは、今までどこにいっても人で混み合っていたインドの街とは明らかに異質な空気だった。治安を抜きにして言うのなら、僕はこんな空気は嫌いじゃない。

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穏やかな風になびく、新緑の稲穂。風に揺られてサワサワと奏でる稲の音。そして蒼い空。

その先に広がっていたもの。それは僕が求めてやまなかったインドの原風景だった。大地と共に暮らす人々の姿、古の時代から変わらぬ世界がそこに広がっていた。

次回はいよいよブッダ・ガヤーのハイライトです。お楽しみに!
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2010'10'13(Wed)19:39 [ ブッダ・ガヤー ] CM0. TB0 . TOP ▲
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