見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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生き神と呼ばれる少女たち
ネパールには、“クマリ”(Kumari)と呼ばれる少女の生き神をあがめる古い慣習が、今なお残っている。クマリとは、ネパールに住む女神クマリの化身のことで、ネパール語で 「処女」を意味する。密教女神ヴァジラ・デーヴィー、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿り、ネパール王国の守護神である女神タレジュの生まれ変わりとされている。

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ネパールの生き神、クマリ。ヒンズー教の女神 “タレジュ”(Taleju)の化身だと考えられている。

クマリには初潮前の幼い少女が選ばれるが、クマリが選ばれる条件は非常に多い。ネワール族の仏教徒の僧侶・金細工師カーストの “サキャ”(Shakya)の生まれの中から、身体的に怪我の跡や不自由な箇所がない、健康で美しく利発で、かつ国や国王との占星術における相性が良い少女が選ばれ、少女が初潮を迎えるまでクマリとして役割を果たす。

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クマリには幼い少女が選ばれる。(左)クマリの地位を剥奪された Sajani Shakya ちゃん。(右)

クマリは、ネパール国内の各地に多数存在している。最も有名なのがネパールの首都、カトマンドゥのダルバール広場に住む “ロイヤル・クマリ” で、ネパール国内の村や町に存在するその他のクマリは “ローカル・クマリ” と呼ばれている。ロイヤル・クマリは国の運命を占う予言者でもあり、人々の病気の治療、願望を叶える祈願をし、インドラ・ジャトラの祭りでは、山車に乗りカトマンドゥの町を巡り、人々の繁栄と成功の力を与えるという。

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カトマンドゥのダルバール広場の南側にあるクマリの館。レンガ調の立派な建物だが、窓は小さい。

選出されたロイヤル・クマリは、カトマンドゥのダルバール広場にある “クマリの館”(Kumari Bahal)で、侍従達に囲まれて暮らすことになる。特別な儀式以外には外出はせず、クマリの館の中で生活をし、学校に行く事も許されないため、勉強は館の中で行う。 観光客は受付で拝観料を支払うと、クマリの館上部にある小窓から顔を出すクマリを、数秒間拝顔できる。

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拝観料を支払うと、建物上部にある木彫りの小窓からクマリが姿を現す。

さて、幸運の象徴として、多くの人々の信仰を集めるクマリなのだが、その一方で、社会から断絶されたクマリの状況は幼児虐待や軟禁状態にあたるとして、クマリの慣習に物議を醸している。ネパール最高裁は、クマリの伝統が人権侵害にあたるか政府に対し調査を命じ、2008年に「クマリには教育、行動、食事の自由などが認められるべきである」という判決を出した。

また、2007年には、8年前間カトマンドゥ郊外のクマリを務めてきた10歳の少女、“Sajani Shakya” ちゃんが伝統に逆らい、アメリカのドキュメンタリー番組のプロモーションのため、6週間渡米したことが原因となり、クマリの地位を剥奪されるという事態に発展した。

クマリとしての務めを果たし、退任した後はどうなるのだろうか。クマリと結婚した男性は6ヶ月以内に吐血して死ぬと言われ、初潮を迎えクマリを退任した少女たちは幸福な人生を送れないと言われている。しかし、実際には多くのクマリが結婚して子供を授かり、幸せな人生を送っているのだそうだ。退任したクマリには、毎月7,500ルピーの恩給が支払われるという。

2008年、ネパールは長きに渡る王制を廃止し、ネパールの国号を “ネパール連邦民主共和国” に改めた。それに伴い、初の大統領が選出され、クマリも新たに選ばれたが、クマリという伝統文化が今後も残されていくのかについては、まだ議論の余地が残されているようだ。


参考記事: ネパールの生き神「クマリ」の少女、渡米で地位をはく奪 & Wikipedia


  
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2011'04'05(Tue)19:50 [ インド・ネパール TIPS ] CM2. TB0 . TOP ▲
COMMENT


こんにちは
こちらにお邪魔する度に異国にきたような気がします。これからも楽しみにしてます。
2011/04/06 13:51  | URL | すけこ #fWAb3maE [edit]


すけこさん、こんにちは!

ブログの記事を見ていただき、うれしいです。
ありがとうございます。

震災後、しばらくネパールの旅記事から遠のいていましたが、
そろそろ再開しようと思ってます。

これからも、よろしくお願いします!
2011/04/06 19:28  | URL | Garyo #- [edit]
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