見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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ネパール最古の都、パタン
パタン”(Patan)は、299年にヴィール・デーヴァ王により設立され、カトマンドゥ盆地で最も古い都だと言われている。伝説を含む歴史的記録を考慮すると、パタンの都がさらに古い時代に建設されたという説も学者たちの間では有力な説になっているようだ。

紀元前250年に、インド亜大陸をほぼ統一したインドのアショーカ王が娘と共にカトマンドゥを訪れた際、パタンの周囲に4つ、中心に1つのストゥーパを建てたという伝説もある。

パタン・ダルバール(パタンの王宮広場)は、ユネスコ世界遺産に登録されている。

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意外にも古い寺院と新しい建築物が違和感なく共存している。

カトマンドゥからバスで30分、終点の “パタン・ドカ”(パタン・ゲート) で降りる。僕と先生は、バスを降りてすぐ近くに見える白い大きなゲート、パタン・ドカをくぐった。ここがパタンの玄関口だ。タメルから南に5㎞ほどなので、自転車も気持ちいいだろうなと思う。

ゲートをくぐってしばらくは、やや近代的な細路地が続く。時折小さな寺院があるのだが、周囲の建築物と寺院の佇まいとのコントラストが独特の風情を放っていた。

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細路地を抜けると、古い寺院が建ち並ぶ広場に。

パタン・ドカから細路地を道なりに進むと、開けた広場に出る。ここがパタンのダルバール広場だ。カトマンドゥのダルバール広場と同じ名前だが、そもそもダルバール広場とは “王宮広場” のことなので、ネパールの各都市にも同名の広場が存在しているのだ。

ダルバール広場までの細路地にも寺院が点在していたが、地図上で見ると、中心のダルバール広場の周囲わずか1㎞四方に、相当数の寺院がひしめいているのがよく分かる。

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左に見えるのが旧王宮。その歴史はカトマンドゥのものより古い。

さっそくダルバール広場を散策することにした。規模こそカトマンドゥのダルバール広場よりこじんまりしているようなものの、より古き街並みの雰囲気が漂っていて、細かな部分ではあるが、寺院などの建築物に施された装飾や彫刻などに深みがあるように感じた。

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柱の頂上には、寺院や王宮に向かって祈りを捧げる像が。

ダルバール広場には日本の仏塔を連想させる塔状の寺院をはじめ、個性的で魅力的な建築物がひしめいているが、そのどれもがバリアフリーで、観光客は自由に寺院の上に登ったり、その途中の階段に座って風景を楽しむことができるのが素晴らしい。

僕たちは少し歩き疲れたので、寺院の上で少し休憩することにした。ネパールの過ごしやすい気候の中、穏やかな心地良い風が、寺院の屋根の下に張られたカーテン状の布をはためかせていた。寺院の上から、ダルバール広場を一望する。各寺院の前には柱のようなものが建っていて、その頂上には寺院に向かって一心に祈りを捧げる像があった。

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寺院の柱一本見ても、この彫刻。しかもこれだけの装飾を直に触れることができるのだから驚く。

パタンは、サンスクリット語で別名 “ラリトプル”(Lalitpur)とも呼ばれ、「美の都」を意味している。その名のとおり伝統工芸が非常に盛んで、古代から残されたネワール建築、彫刻、絵画などの工芸品や美術品を、街の至る所で目にできる。パタンは、歴史に残る有名な芸術家や最高の工芸家をネパールで最も多く生み出した、芸術の街なのだという。

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旧王宮入口にある石像。日本の狛犬によく似ている。(左)旧王宮入口からタレジュの鐘を望む。(右)

ふと間近にある寺院の柱に目を向ける。柱にはこれでもかと言わんばかりに細やかな彫刻が施されていた。よく見ると彫刻があるのは柱だけでなく、扉から天井に至るまで、建物を構成するあらゆる場所に施されている。さらに驚かされるのは、これだけ装飾された柱を、さも何の変哲もない柱のように触り、寄りかかることができるように観光客に解放されていることだ。

バリアフリーなのは、僕たち観光客にとっては素晴らしいことなのだが、「歴史的建造物の保存」という観点で考えると、ここまで自由にしていいのだろうかと心配にならないこともない。とはいえ、自由に寺院に立ち入れるというのはやはりうれしいのだが。

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王の執務室だったムル・チョウクと呼ばれる旧王宮内部の景観。

パタンの旧王宮は、カトマンドゥやバクタプルの王宮より歴史が古い。17~18世紀に建てられた旧王宮の内部には、いくつかの入口から入ることができるが、中は多少の展示物があるようなものの、基本的には広場になっているだけなので、意外と殺風景だったりする。しかしさすがにかつての王宮だけあり、建物の随所に施された装飾や彫刻は見事だった。

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王宮前は、地元の老人たちの憩いの場所。(左)近隣の井戸では、水を汲む子供たちの姿も。(右)

ここはマッラ朝時代の歴代の王が住んだ王宮で、複数の “チョウク” と呼ばれる中庭を囲む建物で成り立っている。王宮は王が即位する度に増築され、謁見の間、会議室、客間、居室、浴室、台所、寺院、中庭など、最大で12のチョウクがあったが、戦争や地震などにより崩れ、現在残っているのは王の執務室だった “ムル・チョウク”(Mul Chowk)と、王の住居だった “スンダリ・チョウク”(Sundari Chowk)、現在はパタン博物館で、王が舞踏や音楽を楽しむ場所だった “マニ・ケシャブ・ナラヤン・チョウク”(Mani Keshab Narayan Chowk)の3つだけだ。

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まるでヨーロッパの街並みのようなダルバール広場の細路地。

さて、僕たちはメインのダルバール広場を起点に、細路地を散策してみることにした。ダルバール広場周辺の細路地は、石畳に赤いレンガ造りの建物、アルファベットで書かれた看板と、まるでヨーロッパのような街並みで、ここだけ見ればとてもネパールには見えない。

細路地には、レストランやちょっとした軽食を売る店、民芸品を売る店などがあるので、思わぬ発見と出会えるかもしれない。僕たちはそんな期待を胸に散策を続けた。
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2011'05'09(Mon)20:13 [ カトマンドゥ ] CM0. TB0 . TOP ▲
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