見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
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絶景カトマンドゥ
日没前のとある夕方、僕と先生はカトマンドゥのダルバール広場を歩いていた。

目的は、何度か通ってベストスポットの目星をつけていた、三層式寺院 “タレジュ寺院”(Taleju Mandir)を望む風景。タレジュ寺院は、旧王宮 “ハヌマン・ドカ”(Hanuman Dhoka)の北側に隣接して建っている、カトマンドゥの顔とも言える建築物だ。

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日没前のダルバール広場の様子。カトマンドゥは、夕方になるとスモッグに覆われやすい。

タレジュ寺院は、高台の上に建てられた三重の塔で、カトマンドゥにある数あるネワール様式の建築物の中でも、群を抜いて美しい建築物だ。高さがあるので、遠くからでも目立つ存在ではあるのだが、やはり間近で寺院を望みたいと思い、建物の下から場所を変え様々な角度をつけて撮影してみたのだが、なかなか理想的な画角を見つけることができなかった。建物の構造や周囲の環境上、下からのアングルだと限界があり、どうしても平坦な風景になってしまう。

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ダルバール広場を見下ろす。遠くにはヒマラヤの山々のシルエットが。

そこで、理想的な角度をイメージしつつ、道をはさんだ対面にある建物の最上階から、風景を望むことにした。もちろん撮影する時間帯も重要で、日中よりは早朝、あるいは夕刻の時間帯が古い寺院の雰囲気にもっともマッチするのではないだろうかと考えたのだが、早朝に見知らぬ建物の屋上へ上るのは少々やっかいだ。というのも、寺院対面の高さのある建築物の屋上は、大抵レストランやカフェになっているからだ。そんなことを考えながらカトマンドゥに滞在していたとある夕方、タイミングを見計らって決行することにした。

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屋上のスポットからタレジュ寺院を望む。美しい寺院だ。

場所は、タレジュ寺院の北側にある建物の、最上階のカフェだ。残念ながらカフェの名前は忘れてしまったが、タレジュ寺院を望むのであれば、この場所がベストだろうと思う。僕と先生は、エレベーターのない建物の最上階(たぶん5~6階)まで階段で登り、目的のカフェに到着すると、寺院が正面に見下ろせる席に座り、チャイを注文した。

同じ場所には年配の欧米人夫婦の先客がいて、やはり撮影に夢中だった。考えることは皆同じだ。僕たちとその欧米人夫婦しか客はいなかったので、日没までの時間、自由に風景を楽しむことができたが、風が強く、徐々に雲行きが怪しくなっていった。

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空を、黒い雨雲が覆いはじめた。しかし、それが風景に素晴らしい表情を与えてくれた。

しかし、風景とは面白いもので、必ずしも晴天であれば良い風景になるとは限らない。雲が織りなすドラマチックな表情や、光の絶妙な加減が、より一層古い寺院の、あるいはカトマンドゥの街並みの魅力を引き出し、味わい深いものにしてくれることもある。だから、僕たちがその時その場所にいたということは、非常にラッキーだったのかもしれない。

きっと屋上のせいもあるだろうが、風が強く、気温も肌寒いほどで、気を利かせたスタッフが、僕たちにタオル・ブランケットを差し入れてくれた。

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太陽が、ちょうど寺院のシルエットの奥に沈んでいく、サンセットならではの光景。

どうしても寺院の存在感に目が行きがちではあるが、少しだけ寺院の歴史にスポットを当ててみる。タレジュ寺院は、1549年、マッラ王朝のマヘンドラ王によって建立され、現在の建物は16世紀半ばに修復されたものだそうだ。クマリの化身であるヒンドゥー教の女神ドゥルガーを祀った寺院で、寺院の中には年に一度 “ダサイン”(Dashain: ヒンドゥー教最大の祭り)の時にだけヒンドゥー教徒に開放され、本尊には王族しか入ることが出来ないのだという。

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シルエットだけ見ると、一見京都と見間違えるくらい、日本の仏教建築と通ずるところがある。

さて、日没の時間帯に近づくと、徐々に真っ黒い雨雲が空を覆いはじめた。建物の屋上という見晴らしのいい場所のせいか、カトマンドゥ市街や、遠くのヒマラヤの山々のシルエットまで見渡せ、わずかではあるが雲の合間から晴れ間がのぞき、そこから夕陽がチラリと見えた。太陽が沈む方角がやや逆光気味になっていたので、寺院のシルエットが浮き彫りになり、それがまた美しかった。僕が見たかったカトマンドゥの風景の1つは、これなんだなと思った。

チャイを飲みながら、刻一刻と移り変わっていく空と、ヒマラヤに沈んでいく太陽、そして目の前の寺院を眺めていると、そのうち雨が降り始めた。陽が沈み、夜の帳が降りるのと、雨が降り始めたのはちょうど同じくらいのタイミングだったかもしれない。

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このショットは先生の作品。斬新な視点はさすがです。

さすがに潮時を感じて、僕たちともう一組の欧米人夫婦も退散することにした。まぁ退散とはいっても、所詮出先なので、逃げ場などどこにもないわけなのだけど、いずれにしてもこのままではマズイなと思い、慌ただしく屋上のカフェを後にした。

とまぁこんな感じで、思い描いていたイメージに近いカトマンドゥの風景を堪能したわけなのだけど、こんな時に一眼レフだったらなぁと思ったりもした。でもね、写真の出来はともかく、なんか目的達成できた感があって、楽しい思い出になりました。


関連記事: ダルバール・スクエアから再びタメルへ & 古き王宮前広場、ダルバール・スクエア


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2011'06'18(Sat)09:09 [ カトマンドゥ ] CM0. TB0 . TOP ▲
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