見上げれば、そのすべては自由なのだから  GOLD EXPERIENCE: 世界を旅する黄金体験
05≪ 2017| 12345678910111213141516171819202122232425262728293006/ ≫07
サハラの旅、砂漠のキャラバン
目の前にはモロッコ、“メルズーガの大砂丘”(Merzouga)が広がっていた。

Morocco121212-1.jpg
ホテルの敷地から階段を下りると、僕たちを4頭のラクダが待っていた。

砂、砂、砂・・・見渡す限りの砂。「これがサハラ砂漠か・・・」僕はつぶやいた。この場所こそサハラの旅の目的地だ。ここからさらにサハラ砂漠の奥へと足を踏み入れていくのだ。

Morocco121212-16.jpg
ラクダに鞍を付ける、青装束に身を包んだベルベル人ガイド。

いかにも「砂漠の民」といった出で立ちの、青いベルベル装束に身を包んだベルベル人の男性がここから先のガイドになる。僕たちは彼の先導で、砂の上に座り込んでいる4頭のラクダに、1人ずつ跨がった。彼の指示で、砂嵐に備えて頭に布をターバンのように巻き付けた。

Morocco121212-2.jpg
鞍に設置された金属製のT字型のバーが命綱だ。

僕たち4人がラクダに跨がると、ベルベル人ガイドの合図で一斉にラクダたちが立ち上がった。想像以上に激しい衝撃と、その高さに驚いたが、掴めるのは目の前にある金属製のバーだけ。バーは鞍に固定こそされているが、ラクダの動きによってグラグラとかなり不安定だ。

Morocco121212-9.jpg
砂漠に映るキャラバンの影。

ラクダたちは、隊列を組んで歩きはじめた。ラクダの脚がゆっくり同じペースで、確実に、砂を踏みしめていく。ギュッギュッという、ラクダの足音だけが砂漠に響いた。

Morocco121212-4.jpg
サハラ砂漠のサンセット。遙か彼方の砂の山に沈みはじめた太陽。

ラクダが踏みしめる砂の音と、ラクダの呼吸音───それ以外は完全に無音だった。出発当初は、ラクダたちが行き交う無数の足跡が残された砂の上を歩いていたが、地平線の果てにホテルの建物が見えなくなった頃には、いつのまにか地面に足跡は無くなっていた。

Morocco121212-10.jpg
太陽が砂の山へと消えていく。

西の空に太陽が沈みはじめていた。しかし、僕は写真を撮影するのに、ラクダと格闘していた。気を抜けば簡単に振り落とされそうになるほどの震動で、ラグダが一歩脚を踏み込む度に身体が金属製のバーに叩きつけられそうな勢いだった。落ちたらただでは済まないだろう。

Morocco121212-14.jpg
ついに太陽は砂山の彼方に沈んだ。

目の前にはかつてないほどの絶景が広がっているのに、思うように撮影できない。それでも僕は半ば強引にシャッターを切った。サハラ砂漠でサンセットを撮影できるチャンスは、人生の中でそう何度もないだろう。いや、むしろこれが最初にして最後のチャンスかもしれない。

Morocco121212-11.jpg
太陽が沈んだ後も、空はまだ明るかった。

太陽が遙か彼方の砂山の向こうに沈んでも、まだ空は明るかった。気が付くと僕たちは砂の孤島にいた。右も左も、前も後ろも、360度見渡す限りすべてが砂で、僕たち以外には人も建物も、空を羽ばたく鳥一匹すらいなかった。もはや「異世界」と表現するしかない。

Morocco121212-12.jpg
砂漠は完全な無音で、生命の営みを感じさせない不思議な空間だ。

この場所が、僕たちが暮らす世界と同じ星なのだとはにわかに信じられないくらい、不自然で、そして違和感のある空間が広がっていた。いつの日か、人類が別の惑星に降り立つことがあるとすれば、こんな感覚になるのだろうか、とラクダにしがみつきながらふと思った。

Morocco121212-13.jpg
砂漠を移動する自分たちの姿を垣間見るような、砂漠のキャラバン。

僕たち4人は、時々後ろを振り返って、お互いの安否を確かめた。どうも僕は写真を撮るのに必死で、時々落ちそうになっていたらしい。オーストラリア人の女の子は、以前ラクダに乗ったことがあるそうで、うまく乗りこなしていた。遠くに僕たちとは別のキャラバンが見えた。

Morocco121212-7.jpg
キャンプ入り口に到着。地面に散らばる無数のラクダの糞が目印だ。

ラクダに乗ってどのくらい移動しただろうか。遙か彼方にキャンプが見えた。敷地を簡易な柵で囲い、その中にいくつかのテントがある、今夜僕たちが滞在するキャンプだ。

キャンプの入り口でラクダたちが一斉に座り込んだ。僕たちはラクダの背から降りた。長時間ラクダに乗っていたおかげで、お尻が打撲と摩擦で痛かった。ラクダの足元には、黒いオリーブ状の丸い玉が無数に散らばっていた。乾燥したラクダの糞だ。ラクダたちにとって、この糞が目的地への目印になっていて、出発地点と目的地に彼らの糞が大量に散らばっていた。

澄みきった大気の中、砂漠に夜の帳が降りはじめていた。美しくパープルがかった空に、まるで銀河のような無数の星々が、浮き上がるように輝きはじめていた。




  
関連記事









exclusive60g.png

2012'12'14(Fri)20:32 [ サハラ砂漠 ] CM4. TB0 . TOP ▲
COMMENT


こんにちは~

サハラ砂漠、
海とは違う神々しさ、
魅力がありますね。

砂漠はエジプトで少しだけかじりましたが、
いつか車で走ってみたいです(^^)
2012/12/15 07:23  | URL | flowerh #- [edit]


flowerhさん、こんにちは!

エジプト、いいですね!

サハラ砂漠は、車だとちょっと難しそうですよ。

砂山にかなりの起伏があることと、一歩足を踏み出すごとに
砂に足が飲まれるような感覚です。

移動にラクダが使われているというのが納得できました。

でも、もしかしたら地域によっては、砂の堆積が少なく、
車で走破できる道があるのかもしれません。
2012/12/15 11:35  | URL | Garyo #- [edit]


とにかく美しい!!!の一言に尽きます。
砂丘とか砂漠の風景を見ていると、私は自分を忘れそうになります。
今この瞬間、砂漠に生きているわけではないのに.....。

2012/12/16 06:10  | URL | Didier Merah Note (Miki) #- [edit]


Mikiさん、こんにちは!

僕も砂漠を見ると、不思議と胸が躍ります。

ずっと憧れていた砂漠に現実に足を踏み入れると、想像以上に異世界でした。

草木や鳥のさえずり、虫すらいない、生命の営みが全く感じられないという
ことで、ここまでの無音を作り出せるということに、驚きました。
2012/12/16 10:51  | URL | Garyo #- [edit]
コメントする














秘密にする?

    
この記事のトラックバックURL
http://thegoldexp.blog99.fc2.com/tb.php/840-1568a18c
trackback